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○酔っ払いの戯言 [○日記]

涼しく快適な那須から自宅に戻ってきたトーチャンの脳ミソを沸騰させる新聞記事がありました。


電力に対する報道に関して私見を述べます。
(アルコールが結構入っています。)

トーチャンはエネルギー多消費型化学産業に勤務する社員。
そういう立場での発言ということを理解したうえでご覧下さい。

 

 

 

自動車にスペアタイヤが搭載されてますね?
スペースセイバーと呼ばれる薄っぺらで細いタイヤをご存知ですか?
あれはパンクしたタイヤを修理するまでの『非常用のつなぎ』のタイヤ。
航続距離、最高速度が制限されます。

『タイヤが品不足だ。パンクしたら新しいタイヤを買わずにスペアタイヤでずっと走れ!』
って、皆さんはどう思われますか?


以下は日経新聞7月10日朝刊1面『迷走 原発再稼動 下』から抜粋引用しています。


六本木の焼肉店で側近の…中略…スタッフと「埋蔵電力」の話しで盛り上がった。
企業が非常時に備えて保有する自家発電設備をフル稼働すれば電力不足は補えると言う理屈だ
(2つの会合で、)首相は「脱原発路線」に意を強くし原発再稼動を簡単には認めない意向を固める。

「調べ直せ!」7月4日、松永経産省次官と細野資源エネルギー庁長官を追い返した。
電力不足を乗り切る切り札として自家発電に期待し、経産省に調査を指示した。
その答えとして持ってきた数字が期待とはほど遠かったからだ。


以下は技術論です。

トーチャンは工場が保有する非常用発電機を今回の電力危機に役立てるよう検討。
でも残念ながら戦力化ができなかった。

・非常用発電機は数時間の運転が前提で、長時間の安定運転は前提としていない。
・非常用発電機を普段の電力として使用するには特別な(高額な)設備が必要。

シロートのトーチャンでさえすぐぶち当たった壁。
調べれば数時間で判ることもろくに知らないスタッフの意見に踊らされた首相が日本という国家の日本のエネルギー政策を混乱の極みに陥れている…


企業の『非常用』発電機とは

・数時間しか運転できない。
電力事業者の不慮の電力供給不能事態に備えた『非常用』設備
発電機はせいぜい数時間の稼動を前提。
電気が再供給されるまで『耐える』ための設備。
燃料タンクは小さく、電力不足を補う常用発電機ではない。

トーチャンの勤務する工場は数千kWの非常用発電機を持ってますが、発電機付属の燃料タンクでは通常は4時間しか持たない。
それでは心もとないので大型タンクをつないでいるがそれでも連続運転は十数時間が限度。
これをクリアするには大型の危険物タンクの設置が必要。
これはお金や法律の関係で容易なことではありません。
その他排ガス等環境への影響問題もあります。常用設備として使用するにはその対応も必須。
(さすがに今夏はお役所も大目に見ると言っていますが。)

それに発電機自体が常用運転を前提とした信頼性を保証していません。(24時間365日動かす設備じゃない!)

・簡単には商用電源と併用できない。
50ヘルツとか60ヘルツとか電気の周波数はご存知ですね?
自家発電と購入電力を同時に使うには自家発電の周波数が電力会社の周波数とぴったりシンクロしないとつなげない。
→サーカスの空中ブランコで2つのブランコが勝手に振れていたら?
→自動車のフロントの2本のワイパーがシンクロしないで勝手に動いたら?

この同調させる設備は発電機の出力にもよりますが数千万円程度必要です。高価なので『非常用』発電機にはつけないケースが多い。

企業の『非常用発電機』は電力会社カから電気が来なくなったとき瞬時に起動して設備に保安電力を送ります。

つまり元々電力会社の周波数と同調する必要性がない設備なんです。

・運転するには人が必要
非常用ならば限られた人員でも緊急対応で非常用発電機を運転管理します。
でもそれを長期常用運転するには運転員が必要。
そんな人員がこの夏にすぐ手配できると考えているとしたら見識の浅さに驚くしかありません。

こんなことも知らないで「埋蔵電力」と舞い上がって、エネルギー政策を二転三転させるわが国のトップ…

電力は産業の礎。
その電力供給が不安定な国家にはこれからどんな運命が待ち受けているんでしょうか。


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